設立経緯
1975年、全国の同和地区(被差別部落)の名称、住所、世帯数、主な職業などが記載された冊子「部落地名総鑑」の存在が明るみに出て、大きな社会問題となりました。調査の結果、9種類の「部落地名総鑑」が販売され、購入者数は220を超え、その大半を企業が占めていたことが判明しました。企業の購入目的は、同和地区の人々を就職から排除することであり、その差別的体質を厳しく問われた企業は、企業の社会的責任として同和問題の解決に取り組むようになりました。
1977年に「企業内同和問題研修推進員」制度が定まるなど、企業の取り組みが全国的に本格化する中で、1978年に福岡市内の企業8社が設立発起人となり、会員企業341社で福岡市企業同和問題推進協議会の設立総会を開催するに至りました。
この時期には、全国各地で同和問題に取り組む企業の連絡会や協議会が発足しており、そのうち13の組織で、「同和問題に取り組む全国企業連絡会(略称:全国同企連)」という連絡会組織が結成されています。福岡市企業同和問題推進協議会もその全国同企連に加入しています。
目的
本協議会は、同和問題の解決を図るため、次の2点を目的として掲げています。
[1]会員企業が相互に連携して、同和問題の正しい理解と認識を深める。
同和問題の解決のためには、まず正しい知識を身につけ、同和地区および同和地区に住む人々に対する誤った見方、考え方(偏見)を、科学的なものの見方によって正すことを推し進めていくことが大切であり、決して「寝た子を起こすな」論では解決しないと考えています。
[2]同和地区住民の就職の機会均等を図る。
同和問題をめぐる差別の形態は様々でありますが、部落地名総鑑事件を振り返ってみれば明らかなように就職差別は企業特有の差別事象と言えます。能力と適性に基づく公正な採用選考を実施して、就職差別を徹底的に排除することは、企業の社会的責任と考えています。
主な事業内容
1.総会・記念講演
- 毎年7月に開催します。主な議事は、前年度の事業報告・決算報告、当年度の事業計画・予算案などです。
また、議事終了後には人権・同和問題に関連したテーマで記念講演を実施しています。
2.研修会・セミナー
- [1]同和問題基礎研修会
- 会員企業の従業員で、社会人になってから同和問題研修を受けたことがない、
あるいは断片的な知識しか持っていないという方を対象とした基本的内容の半日研修会です。
- 同一内容の研修会を、毎年4~5月、9~10月にかけて20回程度開催しています。
- 1回の研修会に30~40名が参加しています。
- [2]同和問題実践研修会
- 基礎研修会を受講された方、同和問題について一定の知識をお持ちの方が対象。「差別をなくす姿勢の確立をめざす」をテーマにした半日研修会で、ワーク中心の実践的なプログラムです。
- 同一内容の研修会を、毎年10~12月にかけて10回程度開催しています。
- 1回の研修会に20名程度が参加しています。
- [3]人権・同和問題啓発セミナー
- 会員企業の人事、総務、研修担当者の相互交流と学習の場を設け、
同和問題を中心にさまざまな人権問題に対する理解、認識を深めるためのセミナー(90分~120分)です。
- 毎年9~10月にかけて8講座程度(講座ごとに内容は異なります)を開催しています。
- 1回のセミナーに100~200名が参加しています。
3.その他
- [1]「BRIGHT-あかるい明日に向かって」
- 同和問題(部落差別)の正しい理解と認識のために同推協が作成している研修テキストです。人権、差別、同和問題(部落差別)の現状や歴史などに関する基礎知識を、分かりやすく解説しています。冊子版、DVD版、DVD版を使った研修の講師用手引き(ガイド)があります。ご利用を検討される際は事務局にお問い合わせください。
- [2]同推協ニュース
- 情報発信や啓発のため、本協議会の活動状況を中心に、年2回(秋、春)発行しています。会員企業へは無料で配布しています。
- [3]地域啓発活動
- 毎年、人権週間(12/4~12/10)の時期に、天神地区・博多駅周辺において啓発チラシを5,000枚程度配布するなどして、
通勤途中の方々に人権の尊重を呼びかける街頭啓発活動などを行っています。