人権コラム

  • 2023年04月10日
    Z世代は人権ネーティブ?世代間格差に御用心

Z世代は人権ネーティブ?世代間格差に御用心

春、あたたかい陽ざしが降り注ぐ季節となりました。今後の社会を支える人材として活躍が期待されている今の若者世代は、どのような人権感覚を持っているのか、先日、興味深い記事が公開されました。

「渋谷のZ世代は人権ネーティブ 広がる“倫理的な就活”」(2023.4.7 日経ビジネス)の記事によると、2022年4月に青山学院大学法学部に新設された、ヒューマンライツ学科が紹介され、「一人の市民として人間らしい生活とは?」「日本は企業を縛る労働法の規制が緩いのでは?」など、大学の教室で学生が熱心に議論をする様子や、学生のコメントが掲載されています。

これまでにもZ世代が多様性や社会問題に関心が高いという傾向は、メディアでもさまざまな形で紹介されてきました。先日、SDGs(持続可能な開発目標)に関連した20歳前後を対象にした意識調査において、SDGsで日本が力を入れて取り組むべき課題について聞いたところ、ジェンダー平等が最多だったことが明らかになったそうです。また、貧困や福祉への関心が上位を占め、気候変動や環境保護の優先度は低かったとのことです。

その背景として、SNS上での#MeToo運動などに代表される人権差別への問題意識、LGBTQのYouTuberなどインフルエンサーの存在があることが指摘されています。先日、ある企業で研修を行った後に参加者の方から、家庭でも中学生のお子さんからLGBTQに関することを教えてもらっていて勉強になる、ということを聞きました。また私の姪もちょうどZ世代ですが、ゲイをオープンにしているYouTuberの番組が大好きで、「LGBTQ」の言葉の説明をしてくれたことがありました。
Z世代から見たLGBTQへの理解度は、同世代と比べると、親世代・社会との間で理解度に2倍以上の差を感じている、という調査結果も公表されています。どのような情報に触れているのかによって、理解度に世代間格差が生じているものと考えられます。

企業がどれだけ人権意識を持っているか、お互いの違いを尊重する風土を整えているか、多様性を重んじる経営戦略を持っているか、そうした観点で若者が企業を選び始める時代になってきたと言ってもいいかもしれません。

NPO法人Rainbow Soup 代表
五十嵐ゆり

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