人権コラム
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2024年05月01日
プライド月間(Pride Month)
「プライド月間(Pride Month)」
皆さんは「プライド月間」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。LGBTQ+に関するイベントに参加したことがある人、職場や学校での啓発活動に取り組んでいる人にとっては、お馴染みの言葉かもしれません。毎年6月が「プライド月間」と呼ばれており、LGBTQ+のコミュニティを祝福し、差別や偏見のない、公正で平等な社会を目指すために設けられたと言われています。
その歴史は1960年代まで遡ります。当時、世界各地で差別に対抗し、公正と平等を求めるLGBTQ+の人たちによる社会運動(ゲイ解放運動)が広がっていました。デモや集会、さまざまなキャンペーンが展開されますが、警察や反対派による度重なる嫌がらせや暴力にもさらされていました。
そうしたなか、1969年6月28日未明、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」にて、警察による不当な踏み込み捜査が行われ、その場にいたLGBTQ+の人たちがビール瓶やレンガを警官たちに投げつけ始めました。次第に抵抗は激しさを増し、日頃の弾圧に対する不満を爆発させた群衆によって、数日間に渡る暴動へと発展しました。この「ストーンウォールの反乱」は、ゲイ解放運動の歴史における一つの節目として、歴史に刻まれることになります。「ストーンウォールの反乱」の翌年、1970年6月28日、この事件の1周年を記念するデモ行進がニューヨークで開催されました。行進者たちが「Out of the closets and into the streets!(クローゼットから出て、街へ出よう!)」と連呼する声に促されて、参加者はふくれあがり、最終的に5000人規模にもなったという記録が残っているそうです。
同日、ロサンゼルス、シカゴ、サンフランシスコなどアメリカ各地でも同様の行進が行われ、毎年恒例となっていきます。お互いの「プライド」を祝福し合い、公正と平等を求める運動は次第に世界各地へと広がり、現在の「プライドパレード」や「プライド月間」につながったとされています。
日本でもちょうど30年前の、1994年、東京で初のプライドパレードが行われ、その後、全国各地で開催されるようになり、2019年からは、パレード・フェスティバル等の主催団体によるネットワーク、JAPAN PRIDE NETWORK(全国プライドネットワーク)が、情報共有や広報などで協力することを目的に活動をスタートしています。プライド月間に合わせた関連の活動は、この数年、企業でも盛んに行われるようになりました。SNSのアイコンをレインボー仕様にしたり、従業員向けの啓発イベントなどが行われています。
プライド月間にできることは職場に限らず、身近な環境でもいろいろとあります。ご家族や親戚、友人とも話題にしてみてはいかがでしょうか。学校や大学で、LGBTQ+に関する適切な知識を学ぶ機会を得る子ども・若者たちは増えています。そうした若い世代から教えてもらえることがあるかもしれません。プライド月間をきっかけに、共に前進してくださる仲間が増えることを期待しています。
NPO法人Rainbow Soup 代表
五十嵐ゆり